【統語論】句構造規則と樹形図(ツリー)[part 3]

言語学
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この記事は[Part 2]の続きとなっています。

統語論について勉強したことのない方は以下の[Part 1]を先に読むことをすすめます。

句構造規則

それぞれの語彙範疇、機能範疇は組み合わさって句を作ります。

例えば、名詞(N)「花」は形容詞(Adj)「赤い」とくっついて「赤い花」という名詞句(NP)を作ります。

NP:赤い花

この性質の最も基本的なものは次のS規則(S-rule)です

S → NP VP

ここからスタートして、さまざまな句のルールを考えましょう。

前提として、以下の2点をおさえておきましょう。

① 全ての要素は句に含まれていなければならない。

 先ほどの例(赤い花)をみてみると、形容詞(Adj)が突然現れています。句構造規則では、この場合、形容詞は形容詞句に含まれているとします。(以下のようになります)

②日本語の格助詞(が、は、を…)は基本的に独自の句を作らず、名詞の一部として分析する。

 日本語の格助詞の分析に限らず、いろいろな言語の独自の要素をどのように分析するかは、分析する研究者がどのような立場をとるのかによって変わります。ここでは、名詞の一部として分析しましょう。以下のツリーのようになります。

名詞句規則(NP-rules)

名詞句のルールを確認しましょう。

私たちは名詞を形容詞 Adj で修飾したり、決定詞 D(例:これ、それ、〜の…)を使って名詞を指定したりすることができます。

さらに、私たちは文 S で名詞を修飾することができます。

NP  →  (S) (DP) (AdjP) N

例1:私のキレイな

例2:太郎が昨日くれたこの赤い

カッコがついているものは、なくても成立するものです。NPなら、極端な話Nだけあっても問題ありませんよね。

これを全部適用したツリーは次のようになります。

Sの下に見られる三角形のような形は省略記号で、「S以下の句構造は略す」という意味です。DP規則については後述。

後置詞句規則(PP-rules)

後置詞句 PP は非常に単純で、名詞句 NP に後置詞 P がくっつくだけです。

PP → NP P

例1:学校
例2:東京から
例3:三時まで
例4:太郎
例5:公園

PP単体の樹形図は次のような形になります。

動詞句規則(VP-rules)

動詞には、副詞 Adv をつけたり、目的語の NP をつけたりするほか、後置詞句 PP をつけて動詞の意味や対象をより明確にすることができます。また、文 S を含む補文 CP をつけることもできます。

VP → (CP) (PP) (NP) (AdvP) V

例1:ご飯をはやく食べる

例2:彼にりんごをあげる

例3:カレーはおいしいと思う

CPの規則は後述

形容詞句・副詞句規則(AdjP・AdvP-rules)

形容詞句:AdjP

形容詞句は形容詞と副詞句からなる非常に単純な句です。

AdjP → (AdvP) Adj

例:とても赤い

副詞句:AdvP

副詞句は、新たな副詞句とくっつくことしかありません。

AdvP → (AdvP) Adv

例:とてもゆっくり

決定詞句規則(DP-rules)

決定詞句は、決定詞単体か、決定詞と名詞からできています。

DP → (NP) D

例1:

例2:この

補文規則(CP-rule)

文中にまた文を挿入するとき、補文標識 C を用いて文をはめ込みます。有名な補文標識は「と」です。

「〜だと思う」や「〜と考えた」などで用いられる「と」が補文標識で、この補文標識が導く文 S と一緒にCPを形成します。

CP → S C

例:彼がカレーを食べたと〜

時制・屈折要素を含めた文(TP-rule)

従来のS規則(S-rule)に時制・屈折要素 T を組み合わせてみましょう。

T には「過去・現在」などの時制や「文の意味を変えられる助動詞」が含まれます。

これにより、これまでとは異なり、動詞の語幹は V 、助動詞は T として記述することができます。

これまで文という要素を S で表してきましたが、S は句であるとは言えないので、 これでは前提①を満たせているとは言えません。

前提① 全ての要素は句に含まれていなければならない。

T は文全体に関わる要素であることから、これまでとは異なり、文を「T を主要部とする句 TP」と分析することができます。

このようにすると、全ての要素が何かの句に含まれます。

文の規則を改めると、次のようになります。

TP → NP VP T

ツリーを書く

では、基本的な句構造規則を用いてツリーをいくつか書いてみましょう。

 1) とても高い山 

 2) 先生の机 

 3) 太郎が学校で本を読む 

今回のように明確な助動詞などがない場合は、Tには文の時制を書きましょう。ここでは現在なら Pres 、過去なら Past と書きます。

 4) 花子が公園でゆっくり歩く 

 5) 花子がこの赤い本をとてもゆっくり読む 

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